セルフナッジを促すインタラクションデザイン
2024.02.28

人の意思決定と情報技術のあり方の探究


Introduction
情報技術(Information Technology)の進化は人々の生活を大きく変えており、特に近年では生成AI (e.g. ChatGPT, DALL-E2, Midjourney)の台頭により、社会に大きな変革をもたらしている。
しかし、ソーシャルメディアによるアテンション・エコノミーやWebサービス上のダークパターンといった新たな弊害も生じている。
これらの問題は、サービス提供者が注意を引くことを目的としたコンテンツの増加やレコメンドシステムの影響により、ユーザーが無意識に不利な行動を取るよう誘導されることにある。
本研究は、これらの問題に対処するために、サービス利用者の意思決定プロセスに重点を置き、無意識の行動による後悔を減らし、より意識的な行動を促すテクノロジーの設計方法を探究している。
このアプローチを通して、2つのプロトタイプ「ScrollMate」「Yaruki Switch Home」を開発・評価した。この結果を元に、インタフェース設計・インタラクションデザインに関する議論を展開している。
以上を踏まえ、『外部インタフェースを通じて、ソーシャルメディアやWebサービスにおける「無意識に自身に不利な行動を取らされる誘導」を避け、人に意識的な判断を促す』セルフナッジのためのインタラクションデザイン手法を提案している。
この手法を元に、プロダクトの設計やサービス設計を行うことで、利用者にとって内省を促すインタラクションを実現する指標となることを示した。
本研究で論じた、「人の意思決定を引き出すための情報技術のあり方」「セルフナッジを促すインタラクションデザインの手法」は、これからの時代のサービス設計や、テクノロジーを考える上で重要であると考える。
Webサービスやソーシャルメディアは、今後も新規サービスが登場し、人々の生活において重要な役割を担っていく。これらのサービスとのより良い付き合い方を探るためにも、利用者自身が対処できるようなインタラクションデザイン・情報技術のあり方について探究をし続けていくことが重要と考える。

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